

WELgee=Welcome+Refugee
私たちは、日本にやって来た難民たちと
誰もが活躍できる未来を目指して活動しています。

もし、あなたが“難民”になったら…
もし、自分の故郷を追われ、突然新しい土地で生きることを余儀なくされたら——
そんな現実が、いま世界で1億2320万人以上の人々に起きています。(2024年12月末時点)
日本の人口にも匹敵する人数が、
紛争や迫害、環境問題の影響で、多くの人が慣れ親しんだ家を、故郷を離れ、未知の未来に向き合っています。
日本にも「難民」としての背景をもつ人たちが10万人以上います。
紛争・差別・迫害などから逃れ、日本にやってくる「難民」
彼らは、数日前までは当たり前の日常を母国で送っていました。
夢見るITエンジニア、正義感に溢れるジャーナリスト、優しい牧師さん…
多様なスキル・経験を持つユニークな人材です。
こんな優秀で情熱のある若者が腐っていく日本の現状があります。
Sさんのケース - 日本で「道」を探し続けた5年間
Sさんは1991年、コンゴ民主共和国で、6人家族の長男として生まれました。
大学では工学を学び、卒業後はエンジニアとして活躍。27歳のとき、人生のパートナーと出会いました。恋人として共に過ごした後に結婚し、幸せな夫婦生活を送っていました。
しかしある日、Sさんは政府の汚職を発見。そのことがきっかけで国家警察から脅迫を受けるようになりました。事態は日に日に深刻化し、ついには命の危機を感じるまでに。
「とにかく遠くに逃げなければならない」ーそれがSさんの唯一の選択肢でした。
しかし、政府から目をつけられた人が安全な場所に逃げるのは、決して容易な事ではありません。逃げる前に逮捕され、司法判断なく刑務所に収容され、最悪の場合、命を奪われる事もあります。
Sさんは時間との闘いの中で、最短で逃げるルートを確保し、少しでも機会があれば脱出しようと決意しました。そんななか、最初に取得できたのが日本の短期滞在ビザでした。
2019年10月、Sさんは日本にやってきました。
支援も住まいもなく、最初の一か月半は公園で夜を過ごしていました。
2020年1月、SさんはWELgeeと出会い、ともに仕事探しを始めました。
しかし、日本は新型コロナウイルスの影響で緊急事態宣言が解除された直後。企業の採用活動は停滞し、経済は深刻な不況に陥っていました。その状況下での仕事探しは、いばらの道でした。
Sさんは50〜60社に応募しましたが、書類選考で落ち続ける日々が続きました。ようやく面接やお試し雇用の機会を得ても、採用には至たりませんでした。
異国の地で、愛する家族と離れ離れになり、仕事も見つからず、家族を支えることができない。
この状況は、夫として強い責任感を持つSさんにとって、非常に辛いものでした。
日本にのがれた難民の活躍を阻む「壁」

日本語の壁
日本市場においては、高い日本語能力が求められます。難民として来日した多くの方々は、来日後にゼロから日本語を学ばざるを得ず、言語の習得に時間と労力を要します。そのため、本来持っているスキルや経験を発揮できる場が限られてしまうことがあります。専門性があっても、日本語力を理由にチャンスが得られないことも少なくありません。
情報へのアクセス不足
ハローワークや求人サイトなどの情報は日本語で提供されることが多く、就職活動に必要な制度や手続きの情報にたどり着けないことがあります。また、日本市場での就職活動は母国とかなり異なる場合も多く、これまでの経験をどうすれば日本市場で活かせるのか、迷子になる場合も少なくありません。
社会とのつながりの欠如
日本での人的ネットワークが乏しいことも、就職の障壁になります。知人からの紹介や企業との偶発的な接点が少ないため、自分の強みや人柄を直接伝える機会が生まれにくくなります。社会的な孤立感から精神的なストレスを抱えることもあります。
難民とともにつくる私たちの活動
WELgeeでは日本に逃れた難民が、それぞれのスキルや経験、志にあった仕事へ就職をかなえ、キャリアを通じて自己実現を果たすことを目指して活動しています。
- 育成事業:日本社会・日本市場を理解し、そこに基づいた自己分析・自己理解、キャリアデザインができることを目指して、キャリア教育・メンターシッププログラム・スキル開発等の機会を提供しています。
- 就労伴走事業:育成・採用・定着の一貫した伴走を行い、人材の強みを活かしつつ、企業のダイバーシティ・グローバル化を推進しています。
- 共創事業:日本社会×難民の価値創造を様々な形で創出しています。
Sさんのその後 - 就職を通じてかなえた「幸せ」のかたち
WELgeeはSさんに寄り添い、仕事が見つかるまでの2年間伴走し続けました。キャリアコーディネーターを中心に、彼のメンタルも気にかけながら、履歴書をブラッシュアップして、共に就労のための努力を重ねました。
2022年2月、ついにSさんはプログラマーとしての仕事を手にすることができました。
Sさんにとって、それはまさに「奇跡」のような瞬間でした。
働くことで家族を支えることができるようになり、日本社会の一員として歩み始める実感を得たのです。
さらに、就職をきっかけに、長年待ちわびた家族との再会も実現しました。
4年間会えていなかった新婚のパートナーと日本で再びともに暮らしはじめ、2025年2月には日本で新たな命を授かることができました。
現在、世界情勢の不安定化に伴い、日本に逃れてくる難民の数が増え続けています。WELgeeに登録いただく方も直近1年で約100名増加しました。しかし、彼らが日本でキャリアを築くこと、異国で自立していくまでの道を描くことは未だに困難な事です。
そんな荒波の中、就職活動の壁に時にはくじけそうになりながらも、人生再建を日本で描いていこうと、日々奮闘しています。
支援金の使い道
難民や避難民の方々が、日本でキャリアを構築するための長期的な伴走プログラムを運営するための資金として使われます。このプログラムでは、キャリア教育・メンターシップ・日本語教育・採用支援・定着サポートなどが一貫して提供され、難民一人ひとりが自立した生活を送るための基盤となります。
私たちが10年後に目指す社会の姿
10年後には難民の背景をもった人との共創が、日本社会のスタンダードになっている社会を実現します。
これまでに約50件、スキルを活かし、企業にもポジティブになるかたちでの事例を積み重ねてきました。
その一つひとつは、決して「雇用された」というだけではありません。
企業にとっては、これまで出会えなかった視点や価値観との出会いになり、当事者にとっては、自らの人生を切り拓くステップであり、そして社会全体にとっても「難民の可能性」を原動力に変える意義のある共創の場となっています。
これからは、この「共創」を当たり前のこととして社会に根付かせること。
これこそが、これからの10年で実現したい変化です。
ぜひ、そんな社会を、「寄付」を通じて、私たちとともに、実現させましょう。
応援をよろしくお願いいたします。

