

セブの農家の子どもたちに教育と希望を
月収わずか1万円。
それが、フィリピン・セブ市の山間部Taptap地区に暮らす農家の現実です。
朝6時から急斜面を登り、水牛を使って固い土を耕す。
収穫した野菜を担いで数時間歩いて大通りに野菜を運び、仲買人を待つ。
手間暇をかけてなんとか育てた野菜は1kg・数十円程度にしかならず、
手元に残るのはごくわずかな現金のみ。
その日の食事にも事欠き、子どもを学校に通わせることすら叶わない家庭が数多くあります。
努力が報われず、夢を持つことすら諦めてしまう。
この場所には、この国が抱えるあらゆる課題 — 教育、医療、貧困、格差 —の縮図があります。
私たちがこの地で実現することは、
農業収入を上げ、子どもたちに確実に教育の機会を提供すること。
——「仕方ない」「どうにもならない」
そう言われ続けてきた状況で、私たちは今、新たな挑戦をしています。
この”あきらめの連鎖”を断ち切るため2024年、国際協力機構(JICA)の草の根技術協力事業に採択されたことをきっかけに、
- 有機種子の自家採取を専門とするGlobal Seed Savers Philippines
- セブで有機農法の実践・普及に長年取り組むCAFEi(Communities for Alternative Food Ecosystems Initiative)
- 地元の若者たち、そして農業に情熱を持った日本のインターン生
が、Taptap地区の農業を取り巻く環境改善のために集まりました。

このプロジェクトは、JICAと共に進める基礎的な農業指導に加え、
- 有機農業の専門家や現地の若者たちと連携した高収益なモデル農法の確立
- そのノウハウを地域全体に広げる
ための挑戦です。
子どもたちが当たり前に教育を受け、自らの力で未来を切り拓けるように。
私たちは”かわいそうな農家を助ける”のではなく、彼らと共に、この状況は「変えられる」と信じて、一歩ずつ歩みを進めています。
DAREDEMO HEROについて
「教育で貧困の連鎖を断ち切る」
それが、私たちDAREDEMO HEROの変わらない信念です。
フィリピン・セブ島で12年以上にわたり、貧困層の子どもたちから未来のリーダーを育成し、「貧困問題の根本解決」を目指して活動しています。


2021年12月
スーパー台風オデットによる被災支援で初めてTaptap地区を訪れました。
それ以来、私たちはマイクロファイナンスや種子配布、有機コンポスティングの導入や高単価野菜の栽培指導などを実施してきました。


そして、2024年
国際協力機構(JICA)による草の根技術協力事業に採択され、事業を開始する準備を進めています。
今回のクラウドファンディングは、このJICA事業と両輪で進めるものです。
JICA事業で得られる基礎知識を土台としながら、より実践的で高収益な農法をモデルファームで実証し、その成功事例を「100世帯の農家」へ届けるための、未来への投資です。
夢をあきらめるのが、当たり前になってしまう場所
この地区の子どもたちは、学校まで片道1時間以上かけて、雨が降ればぬかるむ、舗装されていない道を歩きます。
農業収入が極めて低く、多くの世帯が借金を抱える中で、学用品や制服はもちろん、その日のお弁当さえ用意できず、学校に通えなくなる子どもたちがいます。
そんな子どもたちは、次第に「仕方ない」と夢を持つことすらあきらめてしまいます。


その背景には、いくつもの構造的な課題が折り重なっています。
1)化学肥料への依存と価格の高い種子
多くの農家は適切な農業知識がなく、化学肥料を使い続けています。
その結果、
・土壌は痩せ、収穫量は年々低下
・雨が降るたびに表土が流出
・収穫量が安定せず、化学肥料の価格も高騰
を続けています。
また、野菜を栽培するために必要な種子は、都市部に比べて流通量が少ないため、価格が1.5-2倍近くになるケースも。
これらが農家の利益率を圧迫しています。
2)努力が「捨てられる」構造
収穫した野菜は、仲買人のバイクやトラックに無造作に山積みにされ、市場までの数時間の道のりを運ばれます。
実に3〜5割が潰れて売り物にならなくなることも。
農家の努力は、市場に届く前に捨てられてしまいます。


3)教育水準と情報アクセスの壁
Taptap地区の農業従事者のうち、86%が中等教育を修了していません。
スマートフォンやインターネットの普及も限定的で、自らの生活を向上させるための情報にアクセスする手段がない世帯が多くいます。
私たちが実施する「3つのステップ」

まずは、農家の収益構造を根本から変えます。その鍵は「コスト削減」です。
有機種子の自家採種
「Global Seed Savers」の協力のもと、この土地に適した種を農家自身が採取できる技術を導入します。
これにより、高価な種を毎回購入する必要がなくなります。
有機農法への緩やかな転換
セブで長年オーガニック野菜の生産・販売を指導してきた「Communities for Alternative Food Ecosystems Initiative(CAFEi)」と共に、「有機コンポスト」活用などを推進。
化学肥料への依存から脱却し、豊かで持続可能な土壌を育てながらもコスト削減を実現する農法技術を広めます。



DAREDEMO HEROでは、2025年5月からモデルファームとなる農地を耕し始めました。
ここは、新しい農業技術を実証し、地域の農家が集う学びの拠点です。
このファームの中心にいるのが、日本から来た農業インターンの禅と、Taptap地区で生まれ育ち、農業を生業としてきた現地リーダーのクリスチャン、ニールの若者三人です。
彼らを中心に、これまでTaptap地区では栽培されてこなかったハーブや、食用花、さらには養蜂や養鶏など、この土地の可能性を最大限に引き出すための実証を繰り返します。



このモデルファームで得た知識、技術、そして成功体験を地域の農家へ。
定期的な農業研修会や収穫祭、農家同士が学び合うグループ作りを通じて、今後3年間で地域農家100世帯に対しての組織化をしながらノウハウを広げ、地域全体の所得向上を目指します。


ご支援の活用方法
皆様からいただいたご支援は、この挑戦の拠点となるモデルファームの整備と、プロジェクトの拠点である小屋「Casa Japonesa 」(日本人の家)を整備するために、以下の費用として大切に活用させていただきます。
- モデルファームの拠点整備費 (50万円)
- 家賃や雇用スタッフの人件費など
- モデルファームで様々な農法を実証するための農業資材購入費(30万円)
- 新しい農業資材(破砕機など)や修繕費(小屋・農具など)
- Taptap地区農家への農業研修と組織化にかかる費用(20万円)
- 研修実施費や雇用スタッフの人件費など
担当職員からのお願い
あきらめなくていい未来を、一緒につくりたい。
セブの山で私が出会ったのは、「仕方ない」と夢をあきらめながらも、私たちの声に静かに希望を重ねる。そんな、憂いと輝きをたたえた人々のまなざしでした。
この土地には、今までにも多くの支援が訪れては去っていきました。
けれど、4年にわたって共に歩み、今もこの山に通い続けているのは、
私たちだけだと地域のキャプテンは言います。

代表の内山と二人、「私たちに一体何ができるのか」と、答えのない問いを抱きしめていた数年前。新たな苗を植えた数ヶ月後に、土砂災害がすべてを奪い去り、希望を込めて配った種子が、厳しい干ばつで芽吹くことなく終わる。そんな無力感に、私たちは何度も何度も打ちのめされてきました。「全部ムダなのかもしれない...」と、悔しさに震えたことも。
しかし、そうした日々の先には、いつも光がありました。
私たちの想いを信じ、「この土地を使ってほしい」とモデルファームの場所を提供してくれたガビさん。私たちの活動に専門知識を授けてくれる、Global Seed Saversのハルさんや、CAFEiのテレサさん、リナさん。そして、日本から飛び込んできてくれた、インターンの禅ちゃん。


一人、また一人と、灯火(ともしび)のように想いが集まり、
今、Taptapに希望の風が吹いています。
私の夢は、今はまだ小さな子どもたちが、少し照れくさそうに、でも誇らしげにこう報告してくれることです。
「あの時の支援のおかげで、大学に行けることになったよ」。
どうか、一緒にこの挑戦に立ち会ってください。
夢を、未来を、あきらめなくていい社会を、ここセブの山から。
私たちの挑戦は、始まったばかりです。
応援メッセージ
フィリピン・セブの農家の子どもたちを想い、支援したい、力になりたいという応援者がフィリピンや日本各地にいます。
藤岡頼光さん
セブ日本人会会長・QQENGLISH代表取締役社長

週末になると、よくバイクでセブの山を走っています。そこで目にするのは、美しい景色だけではありません。険しい斜面を登り、重たい野菜を背負って歩く農家の人たちの姿。朝から晩まで働いても、家族を養うのがやっとの現実。
「この人たちの生活が、少しでも楽になればいい」
そう願っていた時に出会ったのが、DAREDEMO HEROのこのプロジェクトでした。
農業が変われば、暮らしが変わる。暮らしが変われば、子どもたちの未来も変わる。
そんな希望を、一歩ずつ形にしている彼らの挑戦を、心から応援しています。
栢下淳子さん
広島修道大学 健康科学部 健康栄養学科 教授

管理栄養士として、そして大学教員として、私は学生と共に3年間、フィリピン・セブの貧困地区で栄養改善に取り組んできました。食事調査や栄養教育、歯科衛生活動を通じて明らかになったのは、「選ぶ自由」さえ奪われた食生活の実態です。貧困のなかで、子どもたちは満腹を優先せざるを得ず、健康への意識や知識があっても実行に移せない現実がありました。
一方、日本の学生たちは現地の奨学生と出会い、同じ世代でありながらも教育や食の環境に大きな格差があることに衝撃を受けました。その気づきは、学びを超えた「使命感」へと変わり、現場で汗を流す原動力となっています。
このプロジェクトは、地域の人々自身が栄養と健康を選択できる力を育み、未来を変える可能性を秘めています。どうか皆さまのご支援で、この希望の循環をさらに広げてください。
支援地域議会

DAREDEMO HEROは、2021年、スーパー台風オデットによって甚大な被害を受けたバランガイ(フィリピン最小行政区)・Taptapの人々に寄り添い、支援を続けてきました。台風は大規模な地すべりや強風を引き起こし、農作物や農地を壊滅させ、地元農家は生計を立て直すための資源や資本を失いました。これを受けて、DAREDEMO HEROは直ちに支援に乗り出し、種子を提供して農家が再び植え付けを行い、復旧に向けて動き出せるようにしました。
それ以来、Daredemo Heroはバランガイ・Taptapと強固で継続的なパートナーシップを築いてきました。初期の復旧支援にとどまらず、農家の技術や知識向上のためのトレーニングやセミナーを実施し、農業活動を維持するために必要な種子や資材の無償提供も続けています。
私たちバランガイの役員は、農家への支援を続けてくれているDaredemo Heroに心から感謝しています。その取り組みは、地域が再び立ち上がるために重要な役割を果たしました。しかし、同団体も限られた資源の中で活動していることと思います。これまでの進展にもかかわらず、多くの農家はいまだ課題に直面しており、生産性の向上や世帯収入の増加、完全な復旧のためには、さらなる支援が必要です。皆さまのご協力に、心より感謝しております。
エマ・T・タヤドさん
農業省 地域事務所・地域土壌研究所 所長 / 理学士(化学)・理学修士

私たちは、セブ市バランガイ・Taptapの農家を支援するために、生活向上と既存技術の向上を目的とした農業活動を推進しているDAREDEMO HEROの揺るぎない努力を高く評価します。特に、土壌採取と分析における地域土壌研究所との意義深い連携は、農家が適正施肥を行い、この地域で高付加価値作物を成功裏に栽培するための重要な指針となっています。
有機肥料と無機肥料の両方を組み合わせることは、土壌の健全性を回復し、農業生産性を高めるための最も効果的な方法です。この革新的な技術は、農家の収量増加を可能にし、その結果として収入や生活の質の向上につながります。
地域土壌研究所を代表し、この貴重なパートナーシップと農業発展への継続的な貢献に対し、DAREDEMO HEROへ心より深く感謝申し上げます。
最後に
「僕たちは“かわいそうな農家を助ける”のではない。“ともに立つ”未来をつくる。」
この信念のもと、農家の力だけでは解決できない現実を打開し、持続可能な農業の未来を築いていきたいと考えています。
どうか、この物語の目撃者でなく、共に未来を創る仲間になってください。
あなたの応援が、私たちの、そしてTaptap地区の、何よりの力になります。
皆さまのご協力をお願いいたします!

このプロジェクトは「ケイズハウスNPO助成プログラム」の認定プロジェクトです。
「ケイズハウスNPO助成プログラム」では、寄付決済時に発生する決済手数料を株式会社ケイズハウスが協賛することで、寄付者の想いがこもった大切な寄付金を全額NPOに届けます。さらにクラウドファンディングの目標金額を達成した団体には追加助成を実施予定です。日本国内の難民・在留外国人の生活や日本国外の困難を抱える外国人の生活をサポートし、 世の中が少しでも良くなることに貢献することを目指します。
▼ケイズハウスNPO助成プログラム特設サイト
https://congrant.com/jp/corp/k...
▼ケイズハウス公式サイト
https://kshouse.jp/index.html
▼ケイズハウスでは一緒に働くスタッフを募集しています
https://kshouse.jp/employment....

