

医ケア児ママが向き合う、声なき現実
医療的ケア児を育てる母親の日常は私たちの想像を絶します。24時間、昼夜を問わず続くケア、モニターの電子音に絶えず神経を研ぎ澄ませる日々。厚生労働省が公表した調査報告書によれば、医ケア児の親の71.1%が慢性的な睡眠不足を、51.3%が社会からの孤立を感じているといいます。
この数字の背後には、我が子の命と向き合い、心身ともに疲弊していく母親たちの無数の夜があります。さらに約9割が就労を希望しているにもかかわらず、希望通りの形態で働けているのはわずか7%に過ぎません。子どもの急な体調変化への不安、長いブランク、そして「職場に迷惑をかけてしまうのでは」という周囲に気兼ねする気持ちが、彼女たちの社会参加への道を閉ざしてしまうのです。
「これが最後のチャンス」涙の採用面接
こうした過酷な状況に対し、私たちは具体的な行動を起こしました。その根幹には、「人からしてほしいと思うことを、人にする」という法人設立以来の理念があります。母親たちが本当に必要としていることは何かを考え抜き、たどり着いたのがこのカフェプロジェクトでした。
採用面接には「これが最後のチャンスだと思っています」といった切実な言葉が並び、「仕事をする姿を、この子に見せたいんです」と力強く語った母親もいました。その言葉は、単なる就労意欲を超え、母としての尊厳と、子への深い愛情の表れでした。
「信じられない。夢のようです」
30年ぶりの就業が決まったある母親は、内定を伝えた日、帰宅してから一人で泣いたと、後日打ち明けてくれました。その涙は、社会復帰への渇望と、この採用がもたらした大きな希望を物語っていました。
新しい働き方を生んだ「体験型」という答え
カフェ・ドゥ・チルミルの最大の特徴は、「アウトドアとキャンプの体験」という独創的なコンセプトにあります。ここでは、お客様自身がコーヒー豆を焙煎したり、ホットサンドを焼いたりする体験が中心です。
この「体験型」という仕組みは、調理経験やブランクの長さを問わず、お母さんたちが働きやすい環境を生み出します。スタッフに求められるのは、調理技術よりも、お客様に寄り添い、楽しさを分かち合うコミュニケーション能力。この役割が、働く母親たちの自信を育み、社会とのつながりを実感させる力となるのです。
「ありがとう」が、最高の報酬になる瞬間
働き始めて間もなく、スタッフルームでは「働くのって、こんなに楽しかったんだ」「誰かと話すのが、こんなに嬉しいなんて」という声が自然と飛び交うようになりました。
スタッフの一人、Tさんは語ります。
「自宅と病院以外の世界が、自分にもまだあったんだって実感できるんです」
介護に追われる中で忘れていた「社会の中にいる自分」を、彼女はここで取り戻しています。目の前のお客様から直接返ってくる「おいしかったよ」「ありがとう」という温かい言葉こそが、何物にも代えがたい報酬となっているのです。


この笑顔を、未来へつなぐために。
カフェ・ドゥ・チルミルは、お母さんたちの人生を変える力を持っています。クラウドファンディングで多くの方に応援いただき、この場所は生まれました。しかし、国や自治体の支援がないこの活動は、日々の運営も決して平坦ではありません。
この温かい場所を守り、一人でも多くのお母さんの「働きたい」という願いを叶えるために、今、あなたの力が必要です。
あなたのご支援でできること
いただいたご寄付は、すべて「CAFE de CHILL MILL」で働くお母さんたちの笑顔のために、大切に使わせていただきます。

1,000円のご寄付で:
お母さん1人が約1時間、社会と繋がり、働く喜びを感じる時間になります。

3,000円のご寄付で:
子どもの急な入院で欠員が出ても、代わりのスタッフを補充し、カフェの運営を維持するための「安心シフト」費用になります。

10,000円のご寄付で:
1人のお母さんが、接客やコーヒーの専門スキルを学ぶための研修費用となり、彼女たちの自信と未来への可能性を育みます。
私たちの挑戦を支える組織
この挑戦は、私たち社会福祉法人あいの実(SWCあいの実)が法人として全責任を持って運営しています。
私たちは、仙台市に根ざし、医療的ケア児や重症心身障がい児とそのご家族に特化した支援を続けてきました。2005年に数人の主婦が始めた小さなNPO法人は、制度の狭間で声なき声を拾い上げる挑戦を続け、2021年に社会福祉法人へと移行しました。
私たちの使命は、単に介護サービスを提供することではありません。障がいを持つお子さんとそのご家族、一人ひとりの「生きがいを再構築する」ことです。このカフェは、その使命を形にした挑戦の一つです。数々の建築賞を受賞した質の高い施設運営の実績と信頼を基盤に、このプロジェクトを必ず成功へと導きます。
皆さまからのご寄付は、社会福祉法人として適正に管理し、その全てをお母さんたちの笑顔のために活用することをお約束します。

あいの実の事業に対する寄付はこちら

あの日、面接で見たお母さんの瞳が忘れられません。
社会福祉法人あいの実 理事長 乾 祐子
この度は、私たちのささやかな、しかし大きな挑戦にご関心をお寄せいただき、心から感謝申し上げます。
「仕事をする姿を、この子に見せたいんです」
人工呼吸器をつけた我が子の傍らで、まっすぐな瞳でそう語ったお母さんの想いに、私たちの心は強く揺さぶられました。
このカフェは、単なる就労支援の場ではありません。それは、母親が母親という役割だけでなく、一人の人間としての尊厳を取り戻すための、私たちの答えです。
しかし、この挑戦を続けるためには、皆さまの温かいご支援が不可欠です。どうか、このささやかな、しかし大きな希望の灯を守るための、パートナーになっていただけないでしょうか。あなたのご支援が、お母さんたちの、そして社会全体の希望へと変わることを、私は固く信じています。
温かいご支援を、心よりお願い申し上げます。

