SNSで広がる闇バイト—知らずに犯罪者になる若者たち

- キャンペーン期間2025年5月22日 00:00~2025年6月30日 23:59
- 寄付目標¥1,000,000
“闇バイト”足踏み入れる若者が後を絶たず… 背景に「SNSでのバイト探し」
近年、若者を中心に「闇バイト」と呼ばれる違法なアルバイトが社会問題となっています。闇バイトとは、高額な報酬を謳いながら、実際には違法行為に加担させるアルバイトのことを指します。
例えば、特殊詐欺の「受け子」や強盗の実行役などがこれに該当します。これらの仕事はSNSなどで「簡単に高収入」「即日払い」などといった言葉で若者を誘い込み、応募者を募ります。
若者が闇バイトに手を染める背景には、SNSでのバイト探しが一般化している現状があります。高校生の約46%がSNSで直接バイトを探した経験があり、34%が実際に応募して働いた経験があるとされています。

*1:マイナビ、2024、「高校生に忍び寄る“闇バイト”とSNSでのアルバイト探し。その危険性と対策とは」。
若者はなぜ闇バイトに手を出すのか?
闇バイトに関わる若者の背景には、経済的困窮・SNSの影響・法規制の未整備などの社会課題が絡み合っています。
経済的困窮と格差の拡大
近年の物価高騰や学費の上昇により、多くの若者が経済的に困窮しています。
マイナビの「2025年卒大学生のライフスタイル調査」によると、物価高の影響で「食費が上がった」と回答した学生は50.7%にのぼりました。また、「学食・生協の値段が上がった」(28.3%)、「飲み会や外食などを控えるようになった」(13.7%)といった影響も報告されています(*2)。
大学生の2人に1人は何らかの奨学金を利用している(*3)と言われ、物価高と奨学金の返済で生活が苦しくなり、短期間で高収入を得る手段として闇バイトに手を出す者も少なくありません。
*2:マイナビ、2024、「2025年卒大学生のライフスタイル調査」。
*3:日本学生支援機構、2024年、「令和4年度学生生活調査」。
SNSによる巧妙な勧誘
XやTikTok、InstagramなどのSNSでは、「即金・高収入」「スマホで簡単に稼げる」といった広告が氾濫しています。SNS上では、実際に闇バイトを経験した人が「簡単に稼げた」と投稿するケースもあり、詐欺的な求人に対する警戒心が薄れてしまいます。
法規制や教育の不十分さ
学校教育では、一般的な就職やアルバイトの注意点は教えられても、SNSを通じた闇バイトの実態については十分に扱われていません。そのため、「自分は関係ない」と思い込んでいる若者が多く、気づいたときには犯罪に加担しているケースがあります。
孤独感や居場所のなさ
家庭や学校、職場での居場所を感じられない若者は、SNS上で勧誘者とつながることで、一種の「仲間意識」や「居場所」を求める傾向があります。特に、家庭内でのコミュニケーションが不足していると、犯罪組織の誘いに乗りやすくなります。

闇バイトに関わった若者の末路
闇バイトの代表例としては、特殊詐欺の受け子や銀行口座や携帯電話の名義貸し、現金や薬物の受け渡しなどがあります。「電話をかけるだけ」「荷物を運ぶだけ」などと指示され、気づかぬうちに違法行為に加担してしまいます。
報酬は後でまとめて払うと言われたり、次もやったら渡すと言われますが、結局払われることはなく、逮捕されるまで捨て駒として使われます。
中には逮捕により内定を取り消された大学生もおり、将来を一瞬で失う事態に陥ることも。さらに「逃げれば家族を巻き込む」などと脅され、誰にも相談できず孤立し、抜け出せなくなるのが闇バイトの恐ろしさです。
困窮・孤立する若者を守るために社会ができること
「今日食べるものがない」「誰にも頼ることができない」
そんな状況で追い詰められている若者が、闇バイトに巻き込まれてしまう前に、手を差し伸べることができるように。若者が気軽に相談できる場所の整備や居場所づくり、就労・進学サポート、食糧支援などを行っている団体があります。